州越えオンライン・ショッピングに課税となるか?
月曜日の夜、上院が「Marketplace Fairness Act」と言う法案を通過させた。これは、オンライン・ショッピングでどの州に住む人が買おうが、Sales taxを販売会社に徴収させることを義務付ける法案である。
この法案は、次に下院に進む。ここでこの法案がどうなるかが注目を集めている。
現在の法律では、販売会社がある州に住む人が買ったときにだけSales Taxは徴収されるが、異なる州に住む人が買った場合、Sales Taxは、徴収されていない。
この「 Marketplace Fairness Act」が法律になると、どこの州に販売会社が存在しようと、全てのオンライン・ショッピングにSales taxが課税されるようになる。
カリフォルニア州やイリノイ州といった税収が少ない州や、小回りの効く小さなオンライン・ショップに太刀打ちできない、Amazonや Best Buyに代表される大型ビジネスがこの法案に賛同する。最近のお客さんはお店で商品を見るだけで、購買はオンラインでするということに、多くのビジネスは困っている、という。ネットで買えばSales Tax分は安くなる。
その一方で、ヘリテージ財団は、この法案に反対する。理由は以下の3つである。
1つは、オンラインショッピングで優位性を保てることで生き残る小さな企業のビジネスが危うくなる、というとこである。
2つめは、どのようにSales taxを徴収するかにも問題がある。この法案が通ると、会社も州政府もSales Taxを徴収するために、購買者についての情報がより必要になる。どこの州で売られどこの州で買われたかを追跡する巨大データベースが必要になる。
3つ目は、この法案は、州間に干渉を起こす懸念があるとする。つまり、州にはそれぞれの州法がる。Sales taxもそれぞれの州で定められており、州によって税率もまちまちである。
民主党が優位な上院ではこの法案は通過したが、共和党優位の下院ではこの法律は書き換えられ通過するのか、それとも通過せずに終わるのか。
個人のお財布に直結するだけに、アメリカでは関心が固まっている。共和党のべーナー下院議長は、この法案を急いで議題にはしない、と発言し、すでにけん制したようだ。
個人のお財布に直結するだけに、関心は深いテーマである。
キャピトルの丘
日本ではいつ消費税が値上げするかが焦点になっているが、アメリカでは州を越えたオンライン・ショッピングの課税にかかる法案が注目を集めている。
日本の消費税は国税だが、アメリカのSales taxは州税だ。そのため、上記のように、州をまたがるショッピングへの課税が問題になる。
全く日本には関係ない議論に見えるが、日本でも地方への税徴収の権利が委譲が進んだり、それこそ地方分権ということになると、州を越えたSales taxの議論は他人事ではなくなる。
ヘリテージ財団には地方政府が出来ることは地方政府がして、連邦政府の社会保障や教育における巨大化を防ぎたいという思いがある。
そこで、ヘリテージ財団は連邦政策を研究するシンクタンクであるが、最近では、州ごとの政策を扱うシンクタンクとも連携を深めている。
先日、参加した政策合宿では、昨年よりも州政府との政策連携の議論が増えていた。
日本にもシンクタンクを、と叫ぶ際には、地方政府との連携という役割も付け加えよう。
ちょうど、今日(9日)、ヘリテージ財団は、神奈川県の黒岩知事を迎えてオープンフォーラムを行った。黒岩知事は神奈川県を医療イノベーションの中枢にするとの構想を話された。
しかもQ and Aでは、本人自らが「Chief Health Officer」になると発表した。
未病の段階で気をつけて病気を防げれば、医療費は削減しそして人は健康になる。しかも医療特区で医療に関するイノベーションで経済を活性化するという構想だ。